「完全からかってますね」
レイモンド博士の言葉だ。ぺちっ。ラヴェルはいきなりかつての主の頭を軽くひっぱたいた。
「誕生日にもらったんだ、母様に」
リース家。十八歳くらいのみかけのリチャードは小型犬を抱いてニコニコ笑っている。
「だから、何」
レイモンド博士はさっきから笑っている。反してラヴェルはご機嫌斜めだ。
「ヨークシャーテリアですね、それ」
笑いながらレイモンドが言う。
「そうなんだってね」
ヨークシャーの名前にラヴェルは溜息をつく。
「通称・ヨーキーだって、ねーディッコン」
「だからなんでその名前なんだか」
「血統書にはちゃんと本名あるよ」
厄介な主だった人はそう言う。
「見せていただきますよ、陛下」
「はいはい、勝手にどうぞー」
小さな犬抱いてご機嫌だが。
「え」
「良い名前だろう、マイヒメ・リチャードネイ・リースって言うの。メスだよ、この子」
「マイヒメ・・・あー森鴎外のあれ、読んでいたの」
レイモンド博士が言う。
「そーだけど、それがどうしたの」
「それがなんで呼び名はデイッコンになるんですかーっ」
ラヴェルがそう言うが。
「いいじゃん、ねーディッコン」
ワン、と小さなテリアが返事をする。
「この人もわんこも一緒に返事するんですかね」
「抑揚なり何なり変えればいいじゃん」
「からかってるんでしょ、絶対そーだ、そーに決まってる」
「よくわかるね、フランシー、かっこ・・・」
「はいはい、私の方ですね、まったく」
ラヴェルのぼやき。奥でリース夫人と遊びに来ていたコニーが爆笑の合唱をしている。
「やると思ってたんだー、リチャード、私にも抱かせてー」
コニーがそう言う。
「はい、姉様」
「おいでーディッコン、いい子ねー」
声が裏返っているコニーにリチャードが笑う。
「マイヒメって名前があるじゃないですかー」
「いいにくいもん、それに子犬の時からそう呼んじゃってたから無理」
「・・・陛下・・・まさか」
「あー今度の休みにパーティ開くんだ、ガーデンパーティだけど、ゼミの仲間とマイクの仲間、それにジョージたちも来るって。あと、ラトクリフもケイツビーも」
「・・・この子のお披露目」
「まさか。休み取れなかったから誕生日のパーティだよ、私の」
「・・・そーですか」
「ラヴェルさんはプレゼントは」
レイモンド博士がそう言う。
「忘れてた・・・」
「レイモンには写真集もらったんだ、星野って人の。北極圏の写真集」
「・・・この世界って解らないっ」
「割合最初に来ているのに、ラトクリフ達より順応力低いね、フランシー」
「・・・誰のせいだと・・・」
「貧乏クジ引きっぱなしのフランシーって妙ちくりんなあだ名あるの、知ってる、フランシー」
「知ってますよ、愛読書でも送ったろか」
「何、読んでるのさ」
「現代医学における代謝異常の対処方法」
「パスっ」
「でしょうね、それと・・・遺伝子情報整理についての論文」
「それもパスだな」
「計算学における生物コードの解読というのもありますが」
「それもやだ」
「正しい小型犬の飼い方」
「それがいい」
「なんで私が・・・(涙)」
本当にこの男は貧乏クジのフランシーだな、とリース家の居間にいるラヴェル以外の全員が思っていた。
「ディッコン、お散歩いこーねー」
リードと散歩グッズ片手にリチャードが甘い声を出した。ワン、と高い声でヨーキーが返事をする。額に白い花をつけていた。よくよく見るとヨーク家の徽章、白薔薇だった。
レイモンド博士の言葉だ。ぺちっ。ラヴェルはいきなりかつての主の頭を軽くひっぱたいた。
「誕生日にもらったんだ、母様に」
リース家。十八歳くらいのみかけのリチャードは小型犬を抱いてニコニコ笑っている。
「だから、何」
レイモンド博士はさっきから笑っている。反してラヴェルはご機嫌斜めだ。
「ヨークシャーテリアですね、それ」
笑いながらレイモンドが言う。
「そうなんだってね」
ヨークシャーの名前にラヴェルは溜息をつく。
「通称・ヨーキーだって、ねーディッコン」
「だからなんでその名前なんだか」
「血統書にはちゃんと本名あるよ」
厄介な主だった人はそう言う。
「見せていただきますよ、陛下」
「はいはい、勝手にどうぞー」
小さな犬抱いてご機嫌だが。
「え」
「良い名前だろう、マイヒメ・リチャードネイ・リースって言うの。メスだよ、この子」
「マイヒメ・・・あー森鴎外のあれ、読んでいたの」
レイモンド博士が言う。
「そーだけど、それがどうしたの」
「それがなんで呼び名はデイッコンになるんですかーっ」
ラヴェルがそう言うが。
「いいじゃん、ねーディッコン」
ワン、と小さなテリアが返事をする。
「この人もわんこも一緒に返事するんですかね」
「抑揚なり何なり変えればいいじゃん」
「からかってるんでしょ、絶対そーだ、そーに決まってる」
「よくわかるね、フランシー、かっこ・・・」
「はいはい、私の方ですね、まったく」
ラヴェルのぼやき。奥でリース夫人と遊びに来ていたコニーが爆笑の合唱をしている。
「やると思ってたんだー、リチャード、私にも抱かせてー」
コニーがそう言う。
「はい、姉様」
「おいでーディッコン、いい子ねー」
声が裏返っているコニーにリチャードが笑う。
「マイヒメって名前があるじゃないですかー」
「いいにくいもん、それに子犬の時からそう呼んじゃってたから無理」
「・・・陛下・・・まさか」
「あー今度の休みにパーティ開くんだ、ガーデンパーティだけど、ゼミの仲間とマイクの仲間、それにジョージたちも来るって。あと、ラトクリフもケイツビーも」
「・・・この子のお披露目」
「まさか。休み取れなかったから誕生日のパーティだよ、私の」
「・・・そーですか」
「ラヴェルさんはプレゼントは」
レイモンド博士がそう言う。
「忘れてた・・・」
「レイモンには写真集もらったんだ、星野って人の。北極圏の写真集」
「・・・この世界って解らないっ」
「割合最初に来ているのに、ラトクリフ達より順応力低いね、フランシー」
「・・・誰のせいだと・・・」
「貧乏クジ引きっぱなしのフランシーって妙ちくりんなあだ名あるの、知ってる、フランシー」
「知ってますよ、愛読書でも送ったろか」
「何、読んでるのさ」
「現代医学における代謝異常の対処方法」
「パスっ」
「でしょうね、それと・・・遺伝子情報整理についての論文」
「それもパスだな」
「計算学における生物コードの解読というのもありますが」
「それもやだ」
「正しい小型犬の飼い方」
「それがいい」
「なんで私が・・・(涙)」
本当にこの男は貧乏クジのフランシーだな、とリース家の居間にいるラヴェル以外の全員が思っていた。
「ディッコン、お散歩いこーねー」
リードと散歩グッズ片手にリチャードが甘い声を出した。ワン、と高い声でヨーキーが返事をする。額に白い花をつけていた。よくよく見るとヨーク家の徽章、白薔薇だった。