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      ジョージがそう話しかけてきた。
      「さあね…」
      「レイモン、アンタ…最近おかしいぜ」
      「解ってるよ、所長様」
      事故で死んだはずの子供の元に足繁く彼は通っている。
      「お母さんは女優だった」
      「売れていたのかな」
      「ううん、端役ばかりだったよ」
      きゅっとレイモンドの手を掴む子供。
      「君の名は」
      「リシャール」
      「あれ、フランス人だったっけ」
      「違うよ、英語は使わなかったの、お父さんがフランス人だったから」
      「そう…」
      子供が死んで、女優がどうなったか、なんてレイモンドは知らない。連れて来た、移民してきた子供相手にギターを弾き、歌を歌う。
      「この歌にしてよ」
      「これ、か」
      「うん」
      太陽は燃えている…か。マッシュルームの雲か…。不思議な事だ、と思う。


      「石灯籠を頼んだのに、なんで供養塔なんか持ってくるんだよ…」
      子供が去ってから、レイモンドは自宅に置くために注文した石灯籠の代わりに来てしまった石仏に溜息をついた。

      一九四五年八月二十二日、原爆死、享年三十二歳…八月六日、享年十歳、享年七歳…

      「これ、家族なのかな」
      「そうですよ」
      「八月十五日に戦争が終わっているのに、二十二日に戦争の為に死んでいるの、この人は」
      「ええ…」
      夏の花を手向け、レイモンドはその石仏から離れたベンチに腰掛けて、「太陽は燃えている」という歌を歌っていた。
      「マッシュルームの雲…」
      「悪魔の雲ですよ、人が作ってしまいましたがね」
      「そう…」
      リース家の、二人目の子供は何も知らなかったが、様々な事を教えた。透明な声でその歌を歌った。地上に落ちてしまった太陽を…声変わりしていない声が歌っていた。
      「最初の子も、こういう声で歌ったな」
      キノコの形の雲って何、レイモン。そう聞いた最初の子が去って何年になるのだろう。もう数えたくない月日だった。

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