バレンタインデイ。とってもすてきなチョコレートの日。
「また出張ってどーいうことよおおお」
「高崎にアジトがみつかったんだ、仕方ないだろ」
近藤にそう慰められても。今度は原田を連れて行ったと言う。沖田が相手だとまた始末書とお詫びのご挨拶の山になる。
「俺も行きたかった・・・十四郎・・・」
「上州に旨い甘いものあったかな・・・かりんとう饅頭とか酒饅頭とか・・・焼き饅頭は現地のほーが旨いと言うし」
近藤がそんなことを言う。
「いや、どーせとんちんかんなものが土産に決まっている、あいつのことだもん」
でっかいさるぼぼ抱きしめながら、銀時はそう言った。隊服、しかも幹部の隊服着て、腕の中にさるぼぼ、机の上に赤ベコ、何か気が抜ける場面だが。
「そーかもな」
近藤はそれらがいつ贈られたのか、思い出して、呟いた。


そして、そーだった。


バレンタインだろ、と言って渡したのは、「万事屋銀ちゃん」の名前入りの縁起だるまと左手をあげている招き猫だった。
「・・・なんでこれなのよ」
「あー、サービス業は左手あげている猫がいいって言うそうだ」
「じゃなくて、だるまと招き猫がバレンタインの贈り物って何か」
「・・・いらねーのか」
「いるけどお・・・」
諦めよう、十四郎がどこかずれた感覚なのは。でもまあ、喜んで受け取ったりする銀時も銀時なのだ、結局は。







縁起だるま。上州高崎のお寺発祥の張り子のおきあがりこぼしで、冬の空っ風を利用して造られている民芸品であります。1月9日から半ばにかけて初市として露天で売られます。高崎が9日、前橋10日、伊勢崎11日と周囲に日をずらして初市がたつのが群馬の初春。ついでに招き猫の張り子も売られてます。
サービス業は左手、普通の商いは右手と決まっているそうで、我が家は美容院でサービス業、水商売にあたりますので左手です。左手は客を招き、右手はお金を招くそうで。我が家では3千円くらいのだるまさんと2千円くらいの猫さんが毎年、買い換えになってました。古いものは大晦日に神社に奉納しますが、だるまさんの目が両目になったことはあまりなかったりしてー。願掛けに目を使ったので。