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    • 赤ベコ物語



      「ねえねえ・・・」
      携帯電話の向こうから聞こえてくる胡散臭い男の声。出張先のホテルで土方は溜息をついた。とっつぁんと呼ばれる男の領地があった地方。会津と呼ばれる地方のホテルで溜息をついたのだ。
      「愛する銀さんの誕生日なのに出張って何なのよー」
      「うるせーな、仕方ねーだろ」
      「お土産買ってきてよー、ねー、お誕生日の贈り物―、ねーったらー」
      「やかましいわっ」
      ぶっちん。電話を切り、土産物屋の店先を見た。真っ赤な牛の玩具がある。ゆーらゆらと首が揺れていた。
      「こいつでいいか」
      一番大きいのを、包んで、ここに送ってくれ、と店員に頼んだのであった。


      「何、これ・・・」
      宅配便の宛先は「万事屋銀ちゃん方・坂田銀時様」で、差出人は・・・「土方十四郎」である。丁寧に包まれ、壊れないように、壊れ物注意の札まで貼り付けた箱から出てきたのは。
      「誕生日おめでとう、銀時くん」と書かれたカードも入っていた。が。
      「・・・何、これ」
      嫌味たらしくも大きい。大きいけれど。牛。真っ赤な牛。首がゆらゆら揺れる張り子の牛。
      「赤ベコ、ですね」
      新八の声にがっくり。赤ベコ。何で。何で赤ベコ。
      「遅れてすまん」なんて殊勝な言葉なんて期待してないけど。でも、なんで赤ベコなのさ。でも。

      せっかく十四郎がくれた記念の品だ。そう言って銀時は机の上に飾っていつまでもいつまでも撫で続けていた、が。神楽も新八もきしょい、と言い切ってばい菌マンを扱うみたいにしっしっと・・・。


      「銀ちゃんがきしょいアル」
      神楽の言葉に土方は目をうつろにさせていた。
      「あいつはいつもきしょいだろが」
      「赤ベコ撫でてにーまにましてるアル」
      ・・・。・・・。あいつは馬鹿か。土方はそう思ったが、仕方ないのかも。
      「そうか、やっぱりな」
      「なんで赤ベコアルか」
      「偶然、目があっただけだ、赤ベコと」
      それが理由アルか、と神楽が言う。
      「・・・土産なしのほーが怖いわ、俺は」
      「銀ちゃん、ドSだから、いじめられるアルか」
      「それに近いな」
      「トーシロー、結構可哀想アルな」
      あんな胡散臭いものとおつきあいしてるなんて。と言われて、土方は硬直していた。





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