さるぼぼ、来る。

世はクリスマス。とってもとっても浮かれている。赤と緑の飾りがゆーらゆらしている。俗に言うクリスマスカラー。けれど、銀時は沈んでいた。どーんよりと、どーんよりと沈んでいた。
「なんでーなんでーあいつ、いねえのよ」
神楽と新八は雇い主であり保護者である銀時のうっとうしい雰囲気をしっしっと払いたくなっていた。けれど。それを払ってくれる土方十四郎という銀時の恋人はこの江戸にはいなかった。
「あー、うっとうしいー、銀さんっ、どっか消えちゃってくださいよっ」
新八がそう言って、銀時を追いだした。
「そんなー」
行くところなんてありゃしないのに。仕方なく、愛しの十四郎の勤め先に足を向けてみた。
「銀時、トシなら正月明けまであっちだぞ」
人の良い局長がそう声をかけた。
「えええー、あっちってどっちよ」
銀時がそう言う。
「信州と、飛騨、だ」
「しんしゅうと飛騨・・・って雪」
「んー雪深いところだが」
攘夷志士達がアジトを造って立てこもり事件を起こし、地元警察を指揮するために出ていると言う。立てこもりの方は沖田を連れて行ったために、あっという間に解決したのだが。が。破壊神の沖田の暴走にあっちでぺこぺこ、こっちでぺこぺこ、あっちで始末書、こっちで始末書になってしまったのだ。
「おーきたくーん、しどい」
「何ですかぃ、旦那、なっさけない」
なんでいるの、あんた。そういう顔で沖田を見る。沖田は額の上にいつもの人を食ったアイマスク、くっちゃくっちゃと風船ガム。そして、片手には菓子袋をぶら下げていた。
「だんなぁ、これ、食べますかぃ」
すっと差し出したのは、駄菓子のちびカステラ。
「食べるけど・・・」
「あ、そうだ、旦那にクリスマスプレゼント、届いてやしたよ、ちょっと待ちなせえ」
ひょいと沖田は奥に引っ込んだ。そして。
「はい、めりいくりすます」
ひらがなじみた発音で、棒読みで告げ、両手で抱えていたものを銀時に手渡した。

でかい。とてつもなくでかい。赤い丸い顔に頭巾に腹当て・・・。

これって・・・。これって。

「旦那へのクリスマスプレゼントでさ」
「これが」
「そうこれが。なかなかいいでしょ、土方さんが選んだんでさ、これ」
だって、人間の赤ん坊みたいな大きさじゃない。クマのぬいぐるみの大きいのみたいじゃない。
「こんなにでかいのに・・・」
「へい。いいでしょう」
「ね、これ、このまま持って町歩くの、俺」
「そうでさ。愛する土方さんの愛の贈り物ですぜ、旦那」

どういう羞恥プレイだよおおお。

こんな馬鹿でっかいさるぼぼ抱きかかえて町を歩けというのーーーっ。


でも、銀時は・・・馬鹿でっかいさるぼぼ抱きかかえてかぶき町へと帰ったのであった。ちゃんちゃん。

あまりの羞恥プレイに、ブチ切れた銀時は土方を腰が立たなくなるまで、啼かせたのであった。

それを土方は・・・どう思ったのかは知らないが、縁はまだ切れていないところを見ると、まんざらではなかったのであろう。