番外編・心もよう
- 大嫌いな晋ちゃんへ。
元気ですか。僕は万事屋を一時閉め、真選組にいます。裏切り者と晋ちゃんは罵ることでしょうね。頼まれてしまったのです。先代の副局長に。彼は病気の為、永眠しました。皮肉なことに彼を看取ったのは僕だけでした。そこで頼まれてしまいました。僕は引き受けました。
それでも、この寂しさは消えないのです。この組織では強さが一番で、剣の腕では沖田君に僕は勝てないでしょう。けれども、沖田君はまだ子供です。とても小さい、幼い、頼りない子供になってしまう子です。彼を、そして、近藤局長を支えてくれ、と土方君に遺言されてしまいました。
僕は返事に困りました。とてもとても、困りました。晋ちゃんや小太郎の顔がちらついたからです。でも、僕は夢にも逢えない君を見捨てる事にしました。目の前で僕にすがるもう、余命幾ばくもない彼の願いに答えてしまいました。なぜ、僕らは離れてしまったのでしょう。不思議です。こんなに寂しくなるなんて、僕はどうかしています。返事をして、彼を、土方君を見送ってから、これで良かったのだと思っています。僕は幸せです。変わらず僕を愛してくれる友人達がいるから。吉田先生の代わりにはとてもなれないはずなのに、支えてくれる近藤局長がいるから、幸せです。晋ちゃんは幸せですか。愛されていますか。それが心配です。この手紙が届くことはないと思ってます。でも、万が一、届いてしまったら。もう一度聞きます。
大嫌いな晋ちゃん、あなたは幸せですか。みんなに愛されてますか。幸せで愛されているのなら、僕は安心です。それでは、さようなら。
坂田銀時
「ふざけるな」
でも、読んでしまった言葉は消えない。高杉はその手紙を何故か肌身離さず持ち歩き続けた。
「おまんもバカぜよ」
坂本が、手紙を届けた坂本がそう言って苦笑した。