07. エスメラルダ
俺は醜いのに、君はなんて綺麗なんだろう。
醜いカジモドが嘆く。ノートルダムドパリの壮麗な寺院の、鐘楼の元で。美しいエスメラルダ。ジプシーの娘。異教の娘。
白い刃が翻る。剣士として部類の強さを誇る美しい子供。修羅の戦場にも近いその場で見たものは。
「欲しいなァ…」
「馬鹿を言うな。あれは…」
万斉の言葉に晋助は苦笑した。
「仕方ねえさね、あれはほんに美しい…」
ふふ、と笑いながら。
「やめておけ」
「解ってるよ、あんなもんに惚れたら身の破滅さね」
でも、欲しいんだよ、と。
「死体でも欲しいか」
「そうかも知れねえ」
そうしたら、カジモドのように、あの美しい子供の亡骸を抱きしめて、骨になるまで離さぬものを。
踊れ、わがエスメラルダ、歌え、わがエスメラルダ、
もう一度、この私の為に。
そなたのための死は死ではない…
そして この惨めな魂を
この世の非情さから飛び立たせたまえ
わが愛に日の光を恵みたまえ
宇宙の光の中にて…
けれど。そのエスメラルダは振り向かなかった。
後書・某○ィ○ニーのノートルダムドパリじゃありやーせん。ユーゴーの本編の方の「ノートルダムドパリ」です。エスメラルダは刑死し、カジモドは彼女の遺体を抱きしめながら墓場の穴蔵で息を引き取るのです。「カジモドの結婚」というタイトルがその結末についていて・・・。醜い鐘つき男は心はとっても純真なのでした。・・・んなキャラいたっけ、アレに。笑。