03. 煙が目に染みる

戦で傷つき怪我したあの人を隠して、愛と惜別の思いで顔を見つめ、覚悟を決めて飛び出す。何人もの敵を切り伏せたり、蹴飛ばしたり。でも。手裏剣が飛び交い、体中に激痛が走って。もう動けなくなって。大事なあの人がやってきて、あの人が抱き上げてくれて。そして。精一杯の愛しさをこめて。



私のこと、忘れないで…。



夢だ、ちとミスって怪我してひっくり返って見た夢で、俺はつくりもんの少女になっていて、主人に言うんだ、死ぬ間際に。その後、主人がどうなったのか、知らない。

けれど、やはり同じような少女が、…、この名前が思い出せない、…ここんとこも駄目だ、を守りなさい、と言って刀を抜き、敵を討ち倒す。けれど、少女達の大事な人は死んでしまう。置き去りにされた小さな靴が。それが記憶に残るだけ。長い黒髪の華奢な少女は派手なオペラピンクのスーツで、白いブラウスが眩しかった。二度と目覚めたくないの、と呟いて。少女の姿のまま、生涯変わらない癖して、人間よりも長生きな、つくりもんの少女は眠ってしまう。

つくりもん。アンドロイドっていう奴だ。あれ、そんなことってあるんかいな、俺はそう思った。ところどころ、何かが抜けていた。相変わらずポンコツな頭だ。夢もまともに覚えねえときたもんだ。



 「総悟」
病院のベッドで腰掛けて、足をぶらつかせていたら、土方さんが来ていた。くわえ煙草なんかで、来てここの婦長にはり倒されたって知らねえぞ。
 「どうした」
 「変な夢見た」
 「どんな」
そのまま、しゃべったら変な顔をされた。
 「その少女達はおまえより強いのか」
 「うん、強い。反応が半端じゃねえ。ところが、さー、あそこの世界にいる戦士たちは…もっと強かったんでぇ」
 「なんで少女が必要なんだ」
 「知らねえ」
なんとかって機械を動かすスーパーコンピューターだった。そんな残酷な事ってあるのか。あんな小さい身体なのに。それを俺のポンコツな頭は説明できないときたもんだ。ちくしょう。
 「どうした」
 「私のこと、忘れないで…」
土方さんはその台詞に凍り付いた。
 「おまえ」
 「死ぬ前にこういうんだよ、つくりもんなのに、血流して死ぬんだ、主人を守ってね」
 「だから」
 「俺が言っても、おかしかないですよねぇ」
ぎゅぅっと抱きしめられてしまった。
 「絶対に言うな」
 「煙草、消してくだせぇ、禁煙ですぜ」
 「やだね」





恋は真実で、恋は盲目、それだけ愛したのに

去っていってしまった、だから僕は

古い写真を燃やして呟くのさ、

煙が目にしみる、と。





 「本当に煙が目にしみらぁ」
土方が煙草を吸わなくなったのはみんな知っている。庭で燃やしているのは、一番隊隊長を勤めた少年の遺品だった。
 「あの馬鹿」



本当にいいやがった、笑顔で。捕り物のさなか、炸裂した爆弾には…大量の鉛玉が仕込んであって。俺の前で陣頭指揮を執っていた総悟の身体を何発か貫いた。威力は総悟のところでぎりぎりだったのか、俺たちの元には届かなかった。慌ててかけより抱き留めると、顔をあげて笑った。そして。
 「私のこと、忘れないで」
そのまま、目を閉じて。俺は奴の夢の中の少女が、守った主人のように後を追うように逝くことが出来なかった。ただ、その主人のように、思わず口づけは、してしまったけれど。笑顔というのが、気にくわなかった。奴の夢の中の少女は泣いていたそうだ。


私を忘れないで。あの馬鹿。忘れられるわけないだろう。ああ、本当に煙が目にしみらぁ。



                おわり



煙が目にしみる。えーっと、久しぶりに書きました、アレ。知っている人もいると思うけれど、○リクルの死に際を思い出したんす、総悟くんの顔、見ていたら。似ているなあ、と。…壊れているんですね、ワシ。ウリ○ルにシンクロする沖田君でした。でも死に方はア○クソーだねぇ…。一度彼女、死んでるのよね、マスターのカ○エンかばって。再生かけて蘇ってるけど。そしてマスターのカイ○ンが死んだ時、アウ○ソーは壊れてしまうのでした。彼女が萌えーなのはそこでんな。お絵かき掲示板で描いてみたら、アレ、ひきずってました。女顔みんなファティマになっちまう。しかも、可憐な少女タイプの。モラードファティマの典型のような。



途中でかいてある歌詞みたいの、本当に「煙が目にしみる」というスローナンバーの、歌の意味なんです、、、失恋の歌でしたー。煙草かと思ったら燃やした彼女の肖像とは、ね。


アレ、FSS。昔、ここはFSSサイトでした。笑。