さて。お話はへんてこ大使がやってくる前に戻るが。
「近藤さん」
似合ってるぞ、なんて死んでもいいたくない土方はただ押し黙った。んが。
「おお、たいした美人ぶりだな、総悟」
「神聖な道場はさ、土足厳禁なのはわかってんだけど、大立ち回りして転けて捻挫なんざしたくねえんでさ、これ、履いて訓練していいかなあ」
と近藤の前にぶら下げるはかかとの高さおよそ七センチのくろいパンプス。もちろん女もの。
「かまわんぞ、何せ役目だからな」
「よっしゃー」
どたどたともう少し小股で歩いてくれると嬉しいんだけどね、ついでに内股にして…。
「総悟」
「あんだよ」
「もう少し淑やかに歩かねえと、ばれるぞ」
土方の言葉に、ぐっと詰まる。真撰組の沖田だとばれたら組織的にもちょっとどころか、大変恥ずい。
「そんなに言うならやってみやがれってんだい」
いや、やれないと思うけどな。想像したら気持ち悪くなった総悟は、ついげんなりした顔をしてしまったが、二人には解らなかった。…何を想像した、総悟くん…。
で、道場。
「お、沖田隊長、なんつー…」
一番隊の皆様、絶句。
「よし、訓練開始するぞ」
「へ」
「その格好でやるんですか」
「当たり前だろぃ」
というわけで。いつも通りに総悟の後ろにはたたきのめされた隊士たちが。
「警護つーことは、組み手もやる」
「ええーっ」
竹刀を片づけると総悟は肉体派隊士に向かって突進した。…合掌。
「おい、おまえら」
殺気のこもった声。
「なんだって鼻血ふきだしてんだよっ、馬鹿かっ」
跳び蹴りなんか繰り出した総悟のスカートの中なんか見ちまったんだから、仕方ないと言えば…。とほほほ。女っ気なしの武装警察組織を恨むしか。というのか…。
「総悟、なんでみんな鼻血なんだ」
素朴な疑問を言った土方を総悟はちろーんと見た。
「それはこういうことなんでぃ」
ぴらっとスカートをめくって…
どかっ。
「うおおおお、てめー、どこけとばしてんだぁっ殺す気かあっ」
「トシ、もどしてやるから、じっとしてろ…」
つまりは…
「ねーちゃんキック実は男の子なのバージョンって言うらしいぜい」
「てめーも男なら加減しやがれっちくしょーっ」
「だって股間って書いてありますぜ」
「だからって試すなっ」
「ちぇっ、ちょっと散歩に行ってくらぁ」
「…その格好で、か」
近藤が聞いた。土方を介抱しながら。
「引っかけたいのがいるんでね」
一番隊の馬鹿どもいやさ、他の隊士も宛にならねーんだもん、仕方ねーじゃん。
「万事屋あたりならおめーのそのレース付きパンツくらい平気かもな」
至極冷静に近藤が言った。近藤も動揺してなかったのに、だが。
土方さん、貴方へのは、たぶん、加減してありますよ、ええ。かーちゃんキック(大元なの、彼女はミラージュナイト)はこんなもんじゃありません。かーちゃんキック、ねーちゃんキック、ねーちゃんキックでもちょっとおばさんなのバージョン、そしてここのパロディで ねーちゃんキック実は男の子なのバージョン・・・やれやれ。笑。