02. 光・一千万年2
「なんと言ってもなー…」ヤニ臭い上着のポケットには煙草とけったいな形のライター。マイトである彼は禁煙を通していた。
「確か父様はお煙草は」
「吸わないんだよねえ…」
とんとんと、マイトは煙草のソフトケースを叩いた。試しに吸ってみた。
「これ、軽いな」
結構ニコチンの強い種類だが、ジョーカーのモノには麻薬の種類がいくらかブレンドされている。それに慣れたモノには軽く感じた。
「あら、それじゃ」
「蜜、話し方、気をつけろ、その身体は男の子のモノだぞ」
「すみません、気をつけます、父様」
騎士はあっちこっちに飛び跳ねる髪に溜息をついていた。
「かなり弱い騎士と同レベルだな、この身体は」
「あら、マスター、それじゃ」
「前と同じように動けばこのものの身体が悲鳴をあげるだろうよ」
「つええわ、この身体」
「へー…俺はどうなんだろうなァ」
ひらんとカレントスタイルのスカートを総悟は持ち上げた。
「おい、総悟、見えるぞ、パンツ」
「駄目ですかぃ」
当たり前だ。細い華奢な脚に、一応少女の身体。土方はあるスーツを見つけ出した。
「これ」
「それがこの少女の、戦闘服ですぜ、着てみますね」
クバルカン・ファティマ独特のプラスチックスーツ。肩くらいの長さの髪に併せた被り物。ボンネット。それを身につけ、総悟は立ち上がってみた。
「もうちっと肉があったほーが」
「ソレは無理ですぜ、スケベな旦那」
スーツは身体のラインをさらけ出していた。
「鼻血でそう」
「でも、これは俺の身体じゃねえしー」
だからって遊ぶな、と土方が止める。
「遊びませんぜ、こいつはとんでもない人造人間ですからね」
モラード博士、工場時代の少女型ファティマ。そのデータがある。場所はボォス。カステポーの田舎町。ベイジからはかなり離れていたにもかかわらず、戦闘状態はかなり激しく、住民のほとんどは難民として去っていった。
「祖国からの命令だな」
通信機器からの連絡事項。
「クバルカンからの指示、レイバック枢機卿が動いた、慈悲のノンナ、難民救済中か」
総悟の言葉。この世界の情報を総悟と銀時は備え付けのパソコンから引き出していた。
「こいつ、すげえよ」
土方がそう言った。
「え」
「天才ってのかね、この頭」
ちょんと指差す頭。
「え、それってどういう」
「医学博士であり、人造人間制作者でもある。でも、この身体の持ち主の程度はモラードやバランシェ達よりは劣っているがものすげえ天才なのは変わりない」
「ふーん…」
「それで、銀時」
「んー」
「おまえの身体、多分、先祖の頃に改造加えられているんじゃねえかなと」
「へー」
「それから、これだ」
ばさりと投げた書類にはロボットの絵とデータ。
「でけえ」
「この頭部にファティマ、胸の部分に騎士という人間が搭乗する」
「ふーん…」
ブザーが鳴った。
「出撃しろって…」
「え」
引きつった顔で銀時と総悟が固まっていた。プラスチックスーツに着替えておいて良かったのかも知れなかったが。
「戦ってどーやるん、この世界では」
窓ににっかーとかのドラゴン。
「にーちゃんたちよー、どーしても駄目なときは身体に聞けやー」
「そうすれば、なんとかなるんだー」
「なるのー、おーかわいいのー、そのからだ不自由しねーみてーだなー、んじゃまたなー」
行くなよ、このドラゴン野郎。トカゲ野郎…と土方だけが呪っていた。