04. あまい
少女の様な。サクランボという果物を思わせるような。そんな容貌だが。素直にはほど遠く、華奢な身体つきのせいか、背が低いためか、まあ周りにいる野郎があまりにもむさ苦しいせいか、花の様だ、と言われるけれど。中身はしっかり毒があって。毒草の花も綺麗だよな、と銀時はぼんやりと思うのであった。なのに、なんで、この少年は自分になつくのだか。ピンクの唇なんかね正直言って、神楽のものよりキスしたいと思うほどなのだが。

 「毒があるんだよなぁ」
 「あー」
マヨネーズ男がとなりでそう言って、背伸びをした。いつもの団子や。なんで出くわした、こんなものと、互いに思っていたが。
 「何だよ、万事屋」
 「あれだよ、きみんとこの、沖田君」
 「ああ…」
 「ミズバショウもトリカブトも花は綺麗なんだなぁ、ヒガンバナもレンゲツツジもキョウチクトウもきれいだし」
それってどういう…と銀時を見る。
 「かじったら死ぬんだよね」
 「そりゃそうだろ」
 「でも、土方氏は死なねぇなぁ」
 「…どういう意味だよ、俺だってそんな」
 「かじってるじゃん、真撰組の夾竹桃」
 「総悟のことか」
溜息一つ。上手い、と拍手したいと思うほどだ。
 「違ぇよ、土方さんは、かじらせているんすよ、旦那」
一番隊は確か、見回り中でなかったか、と土方は思うが。
 「またさぼりやがったな」
隊服のまま、帯刀のまま、沖田総悟が立っていた。
 「さあてね、これ、いいですか」
銀時の団子をかすめ取る。
 「あー、まっいいか」
 「おい、なんで、うちの夾竹桃にはあまいんだ、おめーは」
 「えーいいじゃん、たまには」
 「旦那はしょっちゅうあまい、ですよ」
 「総悟」
 「何て言ったってあだ名は糖分、だから」
三色団子をほおばる。
 「ひでえなぁ」
 「あまそうだけど、このマヨネーズに殺されるから、頭の中にしておこうっと」
 「おい…」
土方がわなないている。
 「どうせ…それ」
総悟の唇に銀時が指で触れる。
 「え」
 「マヨネーズのものなんだから。毒入りでもね」
意味が解らない言葉。気付かれた、総悟は銀時の底知れなさにひやりとした。
 「おいっ、てめーーっ」
切れているマヨネーズ男をどうしたらいいものか、と沖田は考えた。その隙に銀時が立ち去っていく。
 「相手するのやめましょーや、土方さん、今日は相手が悪いですよ」
鯉口を切りかけて、手が戻る。
 「確かに分が悪いな」
総悟の手がかすかに震えていた。
 「どうした」
 「ばれましたぜぃ」
その言葉に土方は団子屋の椅子に座り直した。
 「そっか…」








ところで。「ハシリドコロもトリカブトも花は綺麗なんだなぁ、キンポウゲもレンゲツツジもキョウチクトウもきれいだし」
を改めまして「ミズバショウもトリカブトも花は綺麗なんだなぁ、ヒガンバナもレンゲツツジもキョウチクトウもきれいだし」にしました。

おわかりの御方もいらっしゃいましょうが、毒のある植物です。ミズバショウはコレラに似た症状であの世に・・・ヒガンバナはヒガンバナアルカロイドを含みます。レンゲツツジ、夾竹桃は全身毒です。夾竹桃のうんちく。ベトナムの国花です。帝政中国時代に中国に攻め入られたベトナムを・・・こいつで作ったお箸が救いました。なので、国花だそうです。・・・なんかね。中国の兵士、これでお箸作ったらみんなあの世にいっちゃったとか。・・・んーやはり、なんかね。